24話「MISSION:24」
前回のあらすじ
フォージャー家の一員となった白い犬は、色々とありましたが「ボンド」と名付けられました。
【漫画ネタバレ目次】「SPY×FAMILY」【コミックライク】
「SPY×FAMILY」【23話 MISSION:23】【コミックライク】
(以下、24話のネタバレを含みます)
ヨルの主役回 家族の一員になるために料理を
これまでずっとサブに回っていたヨルにスポットが当たる回でした。2ページ目の沈んだ表情と手の大量の傷で、既に「あ、料理だ」って一発でわかってしまうのがヨルらしかったです。
予知能力犬ボンドとアーニャのコンビプレーも早速入ってきましたが、今回はミスリードのための予知。とはいっても、読者的には「料理が成功して嬉し泣きパターンだな」と予測できてしまいます。
とはいえそれが面白くないかと言えばそうでもなく、ちゃんと着地点に向かって緩やかに進んで行くところが逆に安心感もあります。
ヨルは同僚のカミラに料理を教わっています。買い出しに行くだけで抱えていたトマトを潰してしまったり、何故か食材にサボテンを買ってきてしまうあたりさすがヨルといったところです。
ヨルが料理を習いたいと思ったきっかけは先日のテロ事件の時、ロイドが場を外すために吐いた「お腹が痛くて一日中トイレに」といった嘘を信じてしまい、自分の作った朝食のせいだと思い込んでしまったから。
「このままでは夫婦の危機です!(つまり仕事の危機!)」という必死の願いを、上司が軽く受け止めてカミラに振り、料理教室が開催となりました。
ただ、ヨルの料理が殺人級なのは承知の事実のようで、毒味役として弟のユーリが呼ばれています。ロイドのことを「ロッティ」と心の中で呼んでいましたが、前からこの呼び方でしたでしょうか。
ヨルはポテトの皮をピーラーで剥くだけで血だらけになり、肉を刻めば塵になるレベルでのみじん切り、野菜を切ればまな板までざっくりです。
ユーリはヨルのことが大好きシスコンなので、何をやっても褒めちぎっていますが、指南役のカミラは呆れるばかりです。
「ほんとマジ何なのアンタ どうやって結婚できたの!?」とキレられ、ユーリは密かに処刑しようかとか物騒なことを考えていますが、「見込みないので離婚した方がいい」と言われるとすぐに手の平を返して、心の中で(そうだ別れろ姉さん)と応援しています。
「お願いします カミラさん! ロイドさんに離婚されたら私・・私・・!!(再び逮捕の不安が・・)」と必死に食い下がるヨルを見て、ロイドへの愛情だとちょっと勘違いしたユーリとカミラは、ヨルの手助けを続行します。
そうしてできあがった一品目は見た目にもグロテスクな、魚の頭入りのゴツゴツとしたスープ。ユーリが毒味役として選ばれると、喜々として口にします。
「うまーい♡」という言葉とは裏腹に、反射的に吐き出しているユーリ。「すっごくおいしいよ姉さん!!ああ懐かしい姉さんの味がするよォ~」とばくばくと掻きこみますが、同じくらい吐いてます。
その様子を見て半信半疑ながら味見をしたカミラと上司は、ひと口食べただけで即座にノックダウンです。ブチギレします。
続いて二品目が出てきますが、これも何かの塊から魚の尻尾や、草や骨が突き出ている不気味な品。ユーリはまたしても「うまままーい!!」と凄い勢いで食べていますが、走馬灯が浮かんでいるようでカミラがストップをかけます。
ようやくそこでカミラは、ヨルとユーリが幼い頃に二人で育ち、そのために「こんなのしか食べてくれる人がいなかったから2人してヤバい味覚になっちゃったんですね・・」と真相に気付きます。
「栄養さえ取れればそれでOKと思ってたので・・」とはヨルですが、よくユーリが無事に育ったものです。
カミラは視点を変えて、親が作ってくれておいしかったものは何かと訊ねます。目玉焼きが乗ってるシチューみたいなやつ、とのことでそれを再現することにします。
真剣に料理に取り組むヨルを横目で見ながら、カミラは以前のロボットみたいなヨルとは随分変わったと言います。
「け 結婚したから・・でしょうか?」と何気なくヨルが返すと、「なに勝組 気取ってるんですか?」とカミラはお冠です。上司が「はいはいカミラも充分素敵なレディだよ?」とそつなくフォロー。
料理は初めていいニオイがする成功っぽいものができあがり、試食してみると「うん 悪くない」とのカミラの採点です。
ユーリも口にしますが何か足りないということで、カミラがヨルの出身地を訊いてニールバーグの東の方と答えると、その地方の特色であるサワークリームを足してみます。これが正解だったようで、ヨルとユーリも満足する一品が完成しました。
アパートではロイドがボンドに躾をしています。「まて」を難なくクリアする姿に、(やはり基本的には賢いようだな すぐにでも警戒訓練を施そう)とロイドも満足げです。
しかし、アーニャは「まて」ができない様子で、お腹が空いたと訴えています。ロイドが「そうだな・・」と同意したところでヨルが帰宅。
食材を抱えているのを見てロイドが話を向けると、「今日の夕食は私が作ります!」と胸を叩いて請け負われ、ロイドとアーニャは揃って最大級のショックを受けています。
料理の特訓をしていたと明かしつつヨルが手早く料理を作ります。ロイドいわくその料理は「南部シチュー」とのこと。
できあがった料理は中の目玉焼きの形が若干崩れてはいるものの、おどろどろしい雰囲気もなく普通に「料理」と呼べるシロモノです。「召し上がれ!」。
(匂いは安全だな)とロイド、アーニャは(さいごのばんさん・・)と覚悟を決め、二人してドキドキしながらぱくりとひと口。
「おいしい!」と二人の声が重なります。「ばかな」とアーニャは小声で失礼なことをつぶやいていますが、すぐに「アーニャこれすき!」とかぶりつきます。「何だかほっとする味ですね」とロイドも好評価です。
二人が幸せそうに食べる姿を見たヨルは、自然と涙ぐんでしまいます。ボンドの予知した場面です。
どうしたのかと訊ねるロイドに、「すみません お2人の顔を見て何だか安心してしまったのかも・・」とヨルは素直な気持ちを述べます。
(殺しの仕事を続けるためにこの暮らしを守らねばと思ってましたが お2人に認めてもらえるのが 笑ってもらえるのが単純に こんなにも嬉しいだなんて・・)。
食卓につくロイド、アーニャ、ヨルと、そばで座っているボンド。幸せな家族の風景がそこにありました。
「私ちょっとだけ自信がつきました! フォージャー家の妻として! 母として! これからもよろしく頼みます」と、握り拳を作って微笑むヨル。
調子に乗ったヨルはオリジナルの一品を更に出してきて、アーニャは喜んで「たべる!」と喰いつきましたが、ロイド共々一瞬でノックダウン。
安全な料理の道はまだまだ遠いようです。
ヨルに焦点が当たり、また一歩「家族」に近づきました
ほのぼの回が続きました。
いつもヨルは一歩引いた形で前には出てこなくて、偽装家族のことをどう思っているのか読めないところがありましたが、少し打ち解けた感じがします。
ロイドはアーニャに対して親愛の感情を、おそらく本人もあまり意識していないでしょうが持っています。アーニャも最初からロイドに懐いています。
この二人は「親子」に見えますし、ロイドが「家族」のことを気にかけている描写はいくつかあったのでわかりやすかったのですが、ヨルは天然なので読めなかったんですよね。
それが料理という形で貢献し、二人が笑っているところを見て嬉しく感じるという状況で、少し歩み寄ったというか一員になったというか、そういう進歩みたいなところが感じ取れてほっこりしました。
ボンドも既に馴染んでいて、食卓を囲むシーンが絵になっていて素敵な感じです。
まあ、最後はやっぱり一口必殺の料理を出してくるところが安定のヨルですが、これからちょっとずつ精進していくでしょうか。
同僚のカミラは典型的なツンデレタイプでしたが、料理を教えてくれたりと世話を焼いてくれて、今後も登場シーンがあるでしょうか。名前の忘れた上司との絡みもあるかもしれません。
久々に登場したユーリも相変わらずのシスコンで、どんなにマズい必殺の料理でも「うまい」と死にかけながらも食べるところは筋金入りです。
アクションもいいですが、こういうほのぼのした感じなのがスパイファミリーの味でもありますので、これからもちょくちょく挟んでいってくれると嬉しいですね。
「SPY×FAMILY」【25話 MISSION:25】【コミックライク】
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