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ワールドトリガー【感想】【コミックライク】

ネイバーVSボーダーを描いたバトルアクション

ある日、三門市に突如として異世界へと通じる「門(ゲート)」が開き、ネイバー(近界民)と呼ばれる怪物たちが現れ蹂躙。地球上の兵器が効かない怪物を撃退したのが謎の一団、境界防衛組織「ボーダー」でした。

 

彼らは「トリガー」と呼ばれる特殊な技術を用いてネイバーに対抗、撃退後に素早く防衛体制も敷きます。

 

その後、三門市に「門」を集めることによって襲来するネイバーの被害を最小に喰い止めつつ組織を拡大し、脅威に備えています。 

 

初めて「門」が開いてから4年後。三門市にやってきた遊真と、見習いボーダー隊員の修が出会うことで物語は始まります。

 

 

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重要な設定、トリオンとは

物語を読むうえで重要な「トリガー」の技術と「トリオン」。

 

トリオンはトリガーを使う時に必要となるエネルギー源で、人間の体内に「トリオン器官」が存在し、そこでトリオンが生成されます。トリオン器官は人によって大きさが違い、大人になるほど衰えると言われ、そのためにボーダーの隊員は少年少女が多い。

 

使用したトリオンは栄養補給や休息によって回復します。

 

トリオンは近界では生活基盤を支える重要なエネルギーでもあり、トリガーを介して電力・ガス・火、星によっては住んでいる大地まで生成できる力があります。そのためにトリオンを手に入れるための戦争が起こっています。

 

地球はトリガー技術においては後進国で、近界からは「玄界」と呼ばれて軽視されていてトリオンを得るために侵攻されていますが、玄界独自の技術もあり、「ベイルアウト」という緊急脱出装置もそのひとつです。

 

トリガー使用時には「トリオンによる仮想体」(戦闘体、トリオン体とも呼ばれる)が生成され、感触や体温が反映され、かつ生身の時よりも強化された体が作られます。痛覚も任意に設定可能。

 

その時に生身の肉体はトリガーホルダー内部の近界側の次元に封じられ、トリオン体が破壊されない限り生身は無傷となります。また、破壊された場合はベイルアウトで基地内に生身を戻すこともできます。

 

生身の肉体が別次元に収納?生身を戻す?と突っ込みを入れられれば詳しく説明はできませんが、それは「トリガー技術」という設定ですので、そういうものだと認識しています。

 

ボーダー内では仮想訓練も行うことができ、こちらはイメージとしてはフルダイブ技術だと思ってもらえればわかりやすいでしょう。

 

ネイバーと戦うパートと、仮想訓練室を使って隊員同士が模擬戦をするランク戦のパート

主に修や遊真たちがネイバーと戦うパートと、ボーダー内での仮想訓練を行うパートによって物語は進行していきます。

 

対ネイバー戦では味方同士ですが、仮想訓練では敵同士になるところも、キャラクターの魅力を引き出しています。

 

隊員はS級、A級、B級、C級が存在し、S級は単独で戦闘ができる黒トリガーの持ち主、C級は見習い隊員なので、実質A級とB級がメインの戦闘員となります。

 

A級、B級隊員はそれぞれ3~4名でチームを組み、オペレーターを一人つけてひとつの隊となります。

 

修は遊真と千佳と組み、宇佐美栞という先輩にオペレーターを頼んで隊を組みます。チーム名は三雲隊ではなく、所属している玉狛支部の2番目の部隊ということで「玉狛第2」。

 

仮想訓練は「ランク戦」と呼ばれていて、B級チーム同士の戦いを何度か行うことよって(1シーズン)順位を決定し、1位と2位がA級への昇級試験を受けられます。

 

修たちは近界へ遠征に行けるA級を目指してB級ランク戦を戦っています。

 

仮想訓練は隊員同士で対戦することも可能で、各自が持っているポイントを賭けて勝負したり、ポイントを賭けずに練習したりして、スキルアップを図っています。

 

多人数×多人数のバトルが「1対1」の構図にならない面白さ

ランク戦は仮想訓練でもあるので、敗北しても死ぬこともありませんし、生身の体に傷がつくこともありません。そのために「緊張感がない」という理由や、「長い」という理由で評価を下げている人がいますが、むしろランク戦こそが肝だと思っています。

 

ランク戦は3チーム、あるいは4チームの複数チームの対戦となります。1チームに3~4人の戦闘員がいますので、戦場は大人数となるわけです。

 

バトルマンガと言えば1対1が基本で、片方が必殺技を出して耐え、違う必殺技を出して応戦みたいなものが多く、5対5といっても結局は1対1×5回になることがほとんどです。よくても2対2くらい。

 

しかしワールドトリガーでは戦場に大人数がいますので、1対1の局面になっても漁夫の利を狙う隊員が存在したりします。また、それを囮に使って仕留めたり、敵同士を戦わせて隙を突いたりと色々な戦術が生まれます。

 

どういう決着が着くのか読めないのが面白いところだと思います。

 

対ネイバー戦でもこの構図は生きていて、強力な敵ネイバーに対し、ボーダー側が策を練って力を合わせて撃破していきます。そこが他のバトル漫画とはひと味もふた味も違うところです。

 

4人が主人公

三雲修(みくもおさむ)

眼鏡男子の中学3年生。真面目で正義感が強く、自分がこうすべきと思ったことは臆せずに立ち向かいます。面倒見が良く、ネイバーであると知りながら遊真の面倒を見たり、幼馴染の千佳のことを気にかけています。

ボーダー隊員であるには高ければ高いほどいい「トリオン値」が合格基準に達しないほど弱く、身体能力も低くて入隊も難しほどでしたが、戦闘経験を積むごとに知識を吸収し、戦い方を覚えてそれを活かしていきます。

皮肉を言われても自分の力を知っているため腐らず真摯に対応するので、先輩隊員からアドバイスをもらったりしています。

メイントリガーは「レイガスト」で、他に「アステロイド」「スパイダー」を使用。

 

空閑遊真(くがゆうま)

ネイバー(近界民)。白髪で背が低く、見た目は小学生ですが修と同じ中学3年生。

父親の空閑勇吾に連れられ、様々な近界国を巡りながら戦闘技術を教え込まれ、実戦を積んだために戦闘経験が豊富。父親の死をきっかけに「こちら側の世界(玄界)」に移住。修と出会い、行動を共にすることになります。

合理的な思考のリアリストですが、面倒見のいい修といるうちに少し影響されてもいます。

黒トリガーと呼ばれる強力なトリガーの持ち主でもあり、「他人の嘘を見抜く」というサイドエフェクト(超感覚)の持ち主でもあります。

遊真の黒トリガーは「印」を駆使して様々な武器を使いこなしますが、ボーダー入隊後は規則により自粛、ボーダートリガーを使用。「スコーピオン」をメインに、「グラスホッパー」を組み合わせて機動力を活かした戦い方をします。

 

雨取千佳(あまとりちか)

黒髪おかっぱで身長140センチの中学2年生。小柄な遊真より更に小さく、小学生低学年に間違えられるほど。1本毛が特徴。

おとなしく控えめな性格ですが、強力なトリオンを持つためにネイバーを引き寄せる体質を気にしてのこと。芯は思いのほか強い。

兄の麟児が修の家庭教師をしていたために修とは幼馴染。

メイントリガーは「アイビス」というスナイパー用の武器。ネイバーにも狙われる膨大なトリオン量は、地形を変形させるほどの威力を持つ。

人を撃てないという弱点を持っています。

 

迅悠一(じんゆういち)

19歳。修らの先輩で、ボーダー屈指の実力者。

「目の前の人間の少し先の未来を見る」というサイドエフェクトを持っていて、その予知能力でボーダーに尽力。修のことを「メガネくん」と呼んで気にかけています。

「俺のサイドエフェクトがそう言ってる」が口癖で、ボーダー組織の最高司令官も一目置いています、

黒トリガー「風刃」の使い手。

 

「必殺技」を持たない主人公の三雲修、「持たざる者」が努力して戦う姿が恰好いい

トリオンの多寡が戦闘に大きく影響するワールドトリガーの世界において主人公格の一人、 修は「持たざる者」です。

 

必殺技がない世界でもあり、使用する武器は同じもの、普通に戦えば勝てる見込みもありません。

 

しかし、修は悲観せず、味方を信じて作戦を練り、持っているカードで勝負していきます。そんな修だからこそ遊真もついていくのだろうし、千佳も信頼しています。

 

地道な努力を怠らず少しずつ成長をしていきますが、相手も努力して成長していきますので、単純にその努力が実らないこともあります。普通、バトル漫画で修行したら勝つじゃありませんか?

 

そういう無慈悲な面がありつつも、仲間にも恵まれて日々歩みを止めない姿勢こそが修の力です。 

 

この作品は

作者は葦原大介さんで、集英社の「週間少年ジャンプ」で2013年11号から連載開始。途中、体調を崩してたびたび休載を挟み、長期休養を経て同社の月刊誌「ジャンプスクエア」に移籍、2019年1月号より連載中。2019年5月現在、既刊19巻。

 

「ワールドトリガー」(少年ジャンプ+)で試し読みできます。

 

同作品の前は「賢い犬リリエンタール」という、不思議なテイストの漫画を連載していました。全4巻。

 

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頸椎症性神経根症で長期休載、現在も闘病しながら執筆は続いています

2013年末頃から体調不良によりたびたび休載を挟んでいましたが、痛み止めの薬を打ちながら、騙し騙し連載を続けていました。

 

しかし、ついにその無理がたたり、一時期は体が動かなくなるほどの重体になったことも。

 

85話を最終回のつもりで書かれましたが、その後、快方に向かったことで連載は継続。それでも病気は完治せず、頸椎症性神経根症と診断され、2016年50号から長期休載となりました。

 

ファンにとっては再開を心待ちにすると同時に、先生のお身体を心配する気持ちが交錯し、複雑な心境でした。

 

約2年の療養を経て2108年48号より復帰、5週連続で掲載した後、週間よりもゆっくりとしたペースで書き続けられるということで、2019年1月号より月刊誌「ジャンプスクエア」に移籍して連載しています。

 

普段は2話掲載しながら、単行本の編集作業や体調によって1話掲載となることもありますが、2019年5月現在、休載することなく連載しています。6月には無事20巻が発売される模様です。

 

「ワールドトリガー」【感想・ネタバレ目次】【コミックライク】

 

アニメも長期シリーズとして放送され人気

シリーズディレクター本郷みつる(第1話-第48話)、小川孝治(第49話-第73話)

シリーズ構成:吉野弘幸(第1話-第48話)、境防人(第49話-第73話)

脚本:吉野弘幸野村祐一、高橋ナツコ、横谷昌宏、大野木寛、竹内利光

キャラクターデザイン:海谷敏久、鶴田仁美(第1話-第48話)

音楽:川井憲次

アニメーション制作:東映アニメーション

期間:2014年10月-2016年4月3日(全73話)

キャスト:三雲修(CV 梶裕貴) 空閑遊真(CV 村中知) 雨取千佳(CV 田村奈央) 迅悠一(CV 中村悠一

 

U-NEXTでアニメが観れます↓

 

 

遅効性SFとキャッチコピーをつけられるほど、じわじわと良さが伝わってくる

初見では面白さがなかなか伝わらない作品かと思います。

 

バトルものの宿命というか登場人物も多く、一読しただけでは覚えられないかもしれませんが、初登場時にあっさり敗北したキャラクターでも本当は実力者で、後から実力を発揮して活躍するのも醍醐味のひとつです。

 

覚え切れない!という方は、ワールドトリガー オフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE (ジャンプ・コミックス) [ 葦原大介 ][楽天ブックス]で確認するのもいいかもしれません。

 

既刊は19巻になりますが、物語的には未消化の話も多く残っていて、全部順当に消化すればまだ10巻以上はありそうです。もちろん、ファンとしては最後まで読みたいですが、葦原先生の体調次第ですね。

 

無理をせず続けて欲しいと願っています。

 

 

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