コミックライクの漫画最新話レビュー

漫画・ラノベ・小説の情報発信

フーガはユーガ(伊坂幸太郎)【感想・ネタバレ】【コミックライク】

2019年本屋大賞 10位受賞

[amazon.co.jp]

 

感想・ネタバレあり

伊坂幸太郎さんといえば軽妙な台詞のかけあいと、絶妙に張り巡らされた伏線が綺麗にラストでまとまる構成力。

重すぎない文体で、飽きさせずに終わりまで引っ張っていってくれます。「フーガはユーガ」も、もちろん一気読みでした。

 

主人公の優我が幼い頃に虐待されていた過去を、とあるファミレスで目の前の男に語っているところから始まるのだけど、飄々とした優我の語り口から悲壮さが感じさせず、すんなりと話に入っていけます。

 

優我は双子の弟である風我と1年に1度、誕生日にだけ2時間ごとに入れ替わる能力のことを話します。そのエピソードを目の前の男に伝えることで話は進んでゆく。

 

最初はその能力で暴力を振るう父親に反撃を試みたのだけど返り討ちに遭い、世の中の理不尽さを感じながらも二人は絶望せずに生きていきます。

 

中学生時代はいじめられている級友をなんとなくの正義感でありながらも手助けしたり、風我は通りすがりの困っていそうな小学生に人形をプレゼントしたり、素直な優しさを見せたりします。

 

しかし、その小学生はその後にひき逃げ事件に遭って亡くなり、そのことは二人にとってしこりになって胸に残ります。

 

優我が高校生になり、風我が廃品回収の店で働き始めたりするうち、虐待を受けている同年代の少女・小玉と出会う。

 

二人は入れ替わりの能力を有効に使えないかと考え、計画を立てて実行し、ひと悶着ありながらも小玉を救出します。

 

風我は小玉と付き合うようになり、大学に進んだ優我もコンビニのバイトで知り合った年上のユウコさんと息子の小学生のユウタくんとカードゲームを通じて知り合い、比較的穏やかな日々を過ごします。

 

ところが二人を取り巻く「悪」は去りゆかず、世間では小学生を狙った連続事件が起こり、優我は風我と協力して入れ替わりの能力でユウタくんを励まそうと思いついたものの、離れて暮らしていた父親に見つかり、ユウコさん親子が狙われてしまう。

 

優我は激怒し、父親と対決してユウコさん親子を助け出すが犠牲も払ってしまう――

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

フーガはユーガ [ 伊坂幸太郎 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/5/20時点)

 

クライマックス・オチバレ・未読の方は読後に読むことをオススメします

と、ここまでを目の前に男に話す。男はディレクターであり、不思議な力を持つ優我に興味を持って接触してきていたのだけど、あまりに突拍子もない話に戸惑っている様子。

 

別の場所で改めて詳しい話をと男が告げ、優我は頷いて男に連いて行く。

 

その男こそが、かつて風我が人形をプレゼントしたのちにひき逃げされた事件の犯人でした。

 

しかも男は愉しむためにわざとひき逃げを起こした挙句、金の力であっという間に出所していました。小学生を狙った連続事件もその男で、優我はそのことを突き止めていて、排除しようと思っていたのです。

 

話のなかでは父親との対決で死んだように語っていた風我も生きていて、優我は入れ替わりの能力で解決しようと目論んでいたのだけど、気づいた男に先手を打たれて連れ去られてしまいます。

 

それを救ったのが中学生の時に助けた同級生で、風我も入れ替わりの能力で駆けつけて男を倒すものの、払った代償も大きく優我は命を落としてしまう。

 

エピソードでは数年後の風我の姿が描かれていますが、この文章が優我目線で語られています。いつまでも風我とともにいるというふうにも受け取れ、亡くなったとはいえ、どこか救いがありました。

 

ユーガはフーガ。タイトルの回収が見事でした。

 

未読の方は是非、ご一読下さい。というかここまで読んだ方には完全にオチバレしていますけども・・。

 

次回作はシーソーモンスター

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

シーソーモンスター (単行本) [ 伊坂 幸太郎 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2019/5/20時点)

シーソーモンスター (単行本)[amazon.co.jp]

当サイトは、amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
楽天アフィリエイトとバリューコマースプログラムに参加しています。
当サイトからリンクやバナーによって他サイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報・サービス等について一切の責任を負いません。
当サイトの記事内容の著作権は当ブログ管理者に属します。二次使用、転載は禁じます。