ヒナまつり【感想】【コミックライク】
気の優しい青年ヤクザと謎の超能力少女の共同生活を描くハートフル日常ギャグマンガ
壺を愛すヤクザの若手・新田は高級マンションで一人暮らしを満喫し、ワインを楽しんでいたところ、突如、頭上に謎の物体が落ちてきます。
メタリックな楕円形の物質にミノムシのように包まれ、顔だけしか出ていない人らしき物体を新田は一度はスルーするものの、翌朝も存在したことから仕方なくスイッチを押してしまいます。
すると物体が解除され、現れたのは小学生高学年くらいの無表情な少女ヒナ。もちろん追い出そうとしますが、超能力(念動力)を使う彼女に半ば脅され共同生活を受け入れることになります。
見かけは武闘派ながら、インテリ系であり、もともと実家でも家族の世話を焼いていた「お母さん」体質の新田は、なんだかんだでヒナの面倒を見ることになります。
ヒナの所属していた元組織では、当然のように超能力の行使を迫られたのですが、それを要求せずに世話だけしてくれる新田に戸惑いつつも懐いたヒナは、逆にズボラな性格を発揮して更に新田の手間を増やしていきます。
ヒナを追ってきた組織の者とひと悶着あったり、学校に通うにようになって新たなトラブルに巻き込まれたり、新田の生活は一変します。
ヒナと新田の絶妙のかけあいが面白く、不幸体質の新田がいつも困らせられる姿が面白おかしく描かれるギャグマンガです。
組織の追手アンズ、マオが登場(若干のネタバレあり)
ヒナを処分するために組織から派遣されてくるアンズですが、念動力ではヒナに若干劣ります。
周りに被害を出すことを懸念した新田の提案で「にらめっこ対決」で決着を着け、負けたアンズは潔く身を引きます。
その後、ホームレスを経てラーメン屋で働くようになり、堕落していったヒナとは正反対の真面目で心優しい少女に成長し、新田は虜になってしまいます。何回チェンジしてくれと願っていることでしょう。
アンズの絡んでくるエピソードは笑いもありながら涙を誘うものも多く、ヒロイン枠はむしろこっちかと思ってしまいますね。
のちのち、三人目の組織の念動力者マオも登場してきます。
ある意味この作品一番の成長株、クラスメイトの三嶋瞳(若干のネタバレあり)
中学校に通うようになったヒナが席の隣になってしまったために、面倒を押し付けられます。
新田同様にヒナから目が離せないうえに巻き込まれ体質、しかもしっかりと世話ができてしまうために、どんどんと深みにハマっていきます。
本人は自分のことを普通の女の子と考えていますが、持ち前の器用さと順応力でどんなことも吸収し、誰よりも成長していきます。
中学生でバーテンダーとして働き、その後も数々の職を経験し、技能を身に付けていきます。
最後はもう笑うしかないくらい出世してしまいます。
この作品は
作者は大武政夫さんで、エンターブレイン発行の隔月誌「Fellows!」volume8(2009年12月発売)に読み切りとして掲載され、同誌volume11B(2010年6月発売)より正式に連載開始。
「Fellows!」が「ハルタ」に誌名を変更した2013年以降も毎号連載中。2019年3月現在、既刊16巻。
2019年4月にアニメ化もされている
キャスト:ヒナ(CV 田中貴子) 新田義史(CV 中島ヨシキ) アンズ(CV 村川梨衣) 三嶋瞳(CV 本渡楓)
監督:及川啓
シリーズ構成・脚本:大知慶一郎
アニメーション制作:feel
原作とはエピソードの順番が違ったりしていますが、概ね原作通りです。漫画では伝わらない、動きの入ったドタバタ感がより一層面白さを引き出しています。
オススメのところ
細かい設定を気にせず笑って楽しみたい人にうってつけ。
ギャグマンガなのでいつからでも入れる間口の広さがありますが、やはり最初から読むのがベストですね。アニメから入るのもいいかもしれません。
9巻あたりから数年後の高校生編になったりしますが、ギャグマンガとしての面白さは落ちないまま、ストーリー性を持ったエピソードも入ってきたりします。
いつまで続くが終わりが見えませんが、新田とヒナが起こす騒動はいつでも笑いに包まれて飽きませんね。
ヒナまつり 1【電子書籍】[ 大武 政夫 ][楽天kobo電子書籍]