五等分の花嫁【89話 私と姉妹②】【感想・ネタバレ】【コミックライク】
89話「私と姉妹②」
前回までのあらすじ
修学旅行で風太郎と出会って変わった四葉でしたが、一花と見間違えられたことや、母親も亡くしたことで「特別」を目指すように。マルオに引き取られた5つ子は中学生になりました。
「五等分の花嫁」【88話 私とある男子①】【コミックライク】
以下、「週間少年マガジン(2019年28号)」のネタバレを含みます。
(※感想とあらすじの順番を変更しました。あらすじから読む方は後半にスクロールして下さい)
揺らいでいく四葉のアイデンティティ
風太郎に一花と見分けてもらえなかったことで、ウサ耳リボンをつけて他の姉妹とは違う自分を探し始めていた四葉。
風太郎との約束だった「お母さんのために」という目標も母親を亡くして意味を失い始め、それでも頑張っても結果が出ず、得意なスポーツにある意味逃げてしまいます。
幸いその分野では力を発揮できて周りに認められ、褒められて自分のアイデンティティを取り戻します。
しかし、現実は無常で、逃げてしまった勉強で赤点を回避できず退学処分になってしまいます。自分は特別だと思っていたけど、いざ退学になってしまうと手の平を返したように去っていく部活の仲間たち。
四葉の孤独感がエグいです。勉強でお手本になろうとしても三玖にあっさりと抜かれ、得意のスポーツで周りから認められて「特別」と思ったのもつかの間、退学で手の平を返されるとか人間不信になるでしょう。
その孤独を救ったのは他ならぬ姉妹たち。五人でいなさいという母の言葉が身に染みた四葉でしたが、しかし四葉は「皆のために生きよう」と歪んだ方向へ舵を切ってしまいました。
三玖は「五等分」と言っていて、楽しみも悲しみも皆で分け合おうという意味だと理解していますが、四葉は自分を犠牲にしてでも他の皆を助ける、それが自分を一人にしなかった皆への恩返しだくらいの大袈裟なことを考えています。
風太郎との約束も果たせず、皆に迷惑をかけただけと思っている四葉は、ずっと笑顔でしたが裏ではかなり歪な心を抱えています。
物語はいよいよ風太郎と再会した場面になります。1巻を読み始めた時はまさかこんな裏側の事情があるなんて思いもしませんし、読み返してみると全然違った読み応えになりますね。
以下、今週のあらすじです。
マルオに引き取られた5つ子たち
中野父(マルオ)が5つ子を引き取り、有名私立校に転校させます。この頃に一花がショートカットになっています。
5つ子の通う学校は赤点に特に厳しく、追々試まで不合格だと一発で退学になるとのこと。姉妹たちは成績に苦しんでいるようですが四葉がやる気を見せ、ノートにまとめたものを「お手本にしてみて」と言っています。
少年サッカーの監督に言われた「お手本」がよほど嬉しかったんだねと姉妹は言いますが、風太郎との約束もあったでしょう。皆のなかで一番いい点を取ってマルオに見せにいきますが、淡泊な対応にちょっと残念そうです。
陸上部に誘われても勉強に集中したいと断り、お母さんだったら褒めてくれるかな、風太郎君も今頃勉強してるのかなぁと考えています。ゲームも卒業して三玖に譲ります。
少しずつ点数も上がってきて社会は31点。しかし、歴史のテストで三玖がゲームのおかげで42点を取り、びっくりしてマルオと同じような淡泊な返ししかできずに反省します。自分がもっといい点を取ればいいと努力しますが、数学のテストは29点。
なんのために勉強しているかわからなくなってきます。「五人でいることが大切」という母の教えも呑み込めません。
高校生になり5つ子はそれぞれの特徴が出始めています。四葉は陸上部に入り、インターハイ進出に貢献しています。他の部からも引っ張りだこで、快く引き受けています。
そのせいで勉強がおろそかになり、三玖が心配して勉強を教えようかと言いますが、「私はもう皆と違う 一緒にしないで」と冷たく突っぱねます。
四葉は色々な部から必要とされ、褒められたことで揺らいでいた自分のアイデンティティを取り戻しました。「姉妹の誰でもなく私だからなんだ」「私が姉妹で一番なんだ!」「特別なんだ!」と自信を持ちます。
ところが勉強をおろそかにしていたため、追々試が不合格となり落第が決定します。いくら部活で活躍しようが関係なく、「荷物をまとめなさい」と宣告されます。部活の仲間は庇ってくれるわけでもなく、手の平を返す冷ややかな反応です。
マルオは理事長と話をつけ、特例として退学ではなく転校という形で済ませ、夏休み明けから男女共学の学校に転校するということで話をつけました。
必死で自分がいる意味を作ろうとしてやってきた結果、一人になってしまった四葉は酷くショックを受けます。どこに自分を置いていいかわからなくなったその時、姉妹たちが話し合いの場に現れます。
四葉が転校するなら自分たちも一緒だと、「カンニングした」という嘘をつきます。二乃が「私はあんただけいなくなるなんて絶対嫌!」と言い、一花が「どこに行くにしても一緒だよ」「それがお母さんの教えですから」と五月が続けます。
三玖は「どんなことでも私たちで五等分だから」「困難も五人でなら乗り越えられるよ」と言い、四葉は母が言っていたことの意味に気付きます。
「もう誰が一番なんて考えるのはやめよう」「私は皆のために生きるんだ」と四葉は決意しますが、それはとても悲しい決意でもあります。四葉を縛る枷になってしまいました。
そして、風太郎と出会う
転校した学校の学食で昼食を食べる5つ子たち。試験とかも緩そうだし転校して正解だったわ、と二乃は気を遣っているのか四葉に話しかけていますが、四葉は複雑な表情です。
ふと放置してあった答案用紙を見つけると100点満点。一花が「向こうの角に座ってる地味目な子」と心当たりを告げると、四葉は答案を返しに行きました。
まとめ
1巻につながります。
正直、1話を読み始めた時に、こういう形でつながってくるとはまったく思っていませんでした。この展開を最初から考えていたのなら(というかしていたのでしょうが)物凄い構成力と、そこまで持っていける筆力に感服です。
思わず1巻を読み返してしまいましたが、四葉の表情は「あの子と知っている」顔なのか「あの子かもしれない」と思っている顔なのか、「あの子に似ているな」ぐらいの顔なのか全然わかりません。ホントに凄い・・。
出会った時から協力的だった四葉ですが、最初の出会い(時間的には2度目の出会い)で風太郎に気付いたのかどうか。来週、四葉側からの視点で描かれるので心情も描写されるでしょう。
ヒロインレースから四葉は外れちゃってるな~とずっと思ってましたが、一気に盛り上げてきました。
来週が待ち切れない漫画なんて久々です。今からもう楽しみでしかないですね。
「五等分の花嫁」【90話 私とある男子②】【コミックライク】
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