五等分の花嫁【88話 私とある男子①】【感想・ネタバレ】【コミックライク】
88話「私とある男子①」
前回までのあらすじ
5つ子みんなが一緒ということに疑問を持ち始めていた四葉。修学旅行で姉妹たちとはぐれてしまい、今すぐに戻るべきか迷っている時にトラブルに見舞われている風太郎を見つけ、助けるために声をかけました。
以下、「週間少年マガジン(2019年27号)」のネタバレを含みます。
四葉と風太郎
風太郎のピンチを助けた四葉は、その流れのまま二人で京都を観光することになります。
「ついてくんな」と風太郎に邪険にされながらも四葉は後を追い、例のお守りも購入します。そうこうするうちにあっという間に夜になっていました。
二人とも携帯を持っていないためバスで帰ろうとしますが、四葉はお守りを5つも買ったことで一文無し。風太郎も手持ちは200円しかないので貸してあげることができません。
「貸せねーぞ」と言う風太郎に、寂しそうに「わかってる」と答える四葉。さよならを言おうとしますが、風太郎はその200円を賽銭箱に入れてしまいます。驚く四葉。
風太郎は自分の家が貧乏で、毎回5円しか賽銭箱に入れないと話を逸らしますが、そのお金で電話すれば良かったと今更気づきます。
風太郎の突拍子もない行動に唖然とする四葉は、自然と悩みを打ち明けます。
自分の家にもお金がなく、家族のために母が一人で働いていること、自分は辛くないけど、家族のために働いている母親を見るのは辛い。「自分がいなけりゃお母さんはもっと楽だったのに」と。
「だから これからたくさん勉強して うーんと賢くなって どびっきりお給料のもらえる会社に入ってお母さんを楽させてあげる!」「そしたらきっと私がいることに意味ができると思うんだ」
12歳にして四葉はそこまで悩んでいたのですね。風太郎は感銘を受けます。
「自分が変わって自分で変えりゃいい! そういうことだな!」
風太郎は自分にも妹がいると明かし、「俺もめっちゃ勉強して めっちゃ頭良くなって めっちゃ矩稼げるようになったら 妹に不自由ない暮らしをさせてやれるかもしんねぇ」
「必要ある人間になれるのかもな」
風太郎が変わった瞬間です。風太郎がのちに言うように、彼の人生を変えた恩人は四葉でした。
四葉は「私はお母さんのために 風太郎君は妹さんのために 一生懸命勉強しよう!」と風太郎の手を握り、将来の夢を誓い合います。さっき賽銭箱に入れた200円で、「いつか万札を入れられる大人になれるようにな」と言いながら願い事をしておきます。
そんな二人を照らす懐中電灯。四葉を探しに来た「若いお医者さん」でした。
四葉が5つ子と違う自分を目指す
旅館に戻った四葉は二乃と話していますが、風太郎の名前が覚えられない二乃は「風なんとか君」から、めんどうくさいし「風(ふう)君」でいいかと言っています。既にフー君呼びだったのか・・。
四葉は学校の先生が迎えに来るまでにもう一度会いに行くから二乃も行く?と嬉しそうに話しています。二乃は断っていますが、二人の行く手には風太郎と仲良く話している一花の姿が。
ショックを受ける四葉。変わろうとした自分を認めてくれた風太郎を一花に取られたことや、見分けてくれなかったことは四葉の心に大きな傷を残したでしょう。
修学旅行から帰って母親の零奈はずっと体調を崩したままです。
四葉はこの時、ウサ耳のリボンをつけ始めました。零奈に褒めてもらいますが、これなら皆と間違えられないよねと相当風太郎とのことが堪えている様子です。
しかし零奈は安易な答えは口にせず、「何を身に付けているかなんて大した差ではありません」と素っ気がありません。
四葉はムキになり、勉強して一番になったと、「勝ってるんだよ 私はもう皆と同じ場所にいない そっくりなんかじゃない」と強く否定します。
零奈は四葉の努力は認めつつも、「一番にならずともあなたたちは一人一人特別です」「親としてあなたたちに一緒にいてほしいと願います たとえどんなことがあったとしても」と言います。
零奈としては自分の命がもう長くないことを知っていてそう言ったのでしょうが、四葉からすれば自分を認めてもらえなかったと感じたでしょうし、「あなたたちに一緒にいて欲しい」「大切なのはどこにいるかではなく 五人でいることです」という言葉はある意味、縛りつけるようなものであったかもしれません。
五月もこの時、零奈に甘えて抱きついていますが、零奈の言葉を聞いていたのでしょうか。ちなみに五月の星型の髪飾りもこの時から着けています。
母親はその後、亡くなります。泣き崩れる姉妹たちのなかで、五月は「これからは私がお母さんになります」と言います。一番お母さん子だったのでそういう思いになるのでしょう。
しかし、これからのことを考えると、五人でおじいちゃんの家に行くのは難しそうで、バラバラになってしまうのではと心配します。
そこに現れたのがいつも零奈のそばにいた若いお医者さん。マルオです。零奈と何らかのやり取りがあったのか、5つ子たちを引き受けると告げます。
ボロアパートから豪華なマンションに引っ越すことになり、五人は中学生になりますが、四葉の顔は暗いままで、五人一緒なんて無理、私たちはもう一緒ではいられないと悲観していました。
感想
これまで風太郎視点でしか語られなかった6年前の修学旅行のエピソードが披露されました。
四葉の言葉に感銘を受けた風太郎が変わり、変わった風太郎の前向きな言葉で四葉も変わる。まさに二人にとって運命の日でした。
目標を見つけて幸せそうに笑う四葉でしたが、しかし、一花に取られて落ち込み、母親にも愛情故とはいえ否定さえれ、その母親さえも亡くなってしまいアイデンティティーが崩壊してしまったラストのコマの四葉は別人です。
風太郎と再会した時には明るいキャラクターに戻っていましたが、中学時代に何がきっかけで変わるのでしょうか。やはり落第事件で姉妹に迷惑をかけてしまったことが引き金になるかもしれません。
そうだとすると、相当な葛藤を抱えたまま日々を過ごしていることになりますし、すっきり解決するには、もうひとつふたつ大きなきっかけがないと無理でしょう。風太郎と他の姉妹はどうやって導くのでしょうか。
しかし、零奈の言葉は5姉妹のことを想って「五人で一緒にいて欲しい」と言ったのでしょうが、メンタル崩壊した四葉にすれば残酷でしかありません。今もなおその言葉に縛り付けられているようにも感じます。
五月が母親の真似をしていたのにも納得です。
修学旅行中に四葉は風太郎の名前を言っていましたが、再会した時から本人だと気付いていたのでしょうか。協力的だったことを思えば知っていたのかもしれません。
風太郎は四葉との出会いで勉強を頑張って違う自分になりましたが、四葉は母親もいなくなり、落第もして目標も達成できていません。今後、四葉が何を目標にして達の立ち直るのか。
もう一度、四葉にあの無垢な笑顔が戻って欲しいですね。
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