SPY×FAMILY【34話 MISSION:34】【感想・ネタバレ】【コミックライク】
34話「MISSION:34」
前回のあらすじ
絵画を回収するため、地下テニス大会に潜入したロイドと夜帷。決勝戦で数々の妨害を受けながらも全て受け流し、息の合ったコンビプレーで見事優勝します。絵画も無事に回収し、任務達成するのでした。
【漫画ネタバレ目次】「SPY×FAMILY」【コミックライク】
「SPY×FAMILY」【33話 MISSION:33】【コミックライク】
(以下、34話のネタバレを含みます)
任務完了で終了と思いきや延長戦 夜帷VSヨル
無事に任務が完了し、夜帷の運転する車で帰宅するロイド。少しでも一緒にいたい気持ちで家まで送るという夜帷の提案を、「妻帯者のロイド」が女性と一緒のところを見られると余計な勘繰りを招くと断ります。
夜帷は任務で頑張ったことを、認めてもらえていないのかとちょっと傷ついています。気持ちを押しとどめ、近くの公園でロイドを降ろしますが、ちょうどヨルとアーニャ、ロイドが遊んでいる公園でした。
仲良さげな姿を見た夜帷に対抗心が芽生えたのか、車を降りるとロイドの制止を振り切って「こんばんはフォージャー夫人!!」とヨルに声をかけ、ヨルはびくっとなっています。
ロイドも挨拶しながら、帰り道だから送ってもらったと説明。夜帷はヨルの持っているラケットに目を移し、「夫人もテニスを・・?」と鋭い目つきになっています。
ロイドと練習した時にアーニャがハマってしまったと答え、アーニャは「アーニャほーむらんとくい」と相変わらずです。ロイドは「おかげで今日のコンペいいところまでいったよ」と朗らかに話しています。
夜帷はそんな会話も勝手に脳内変換して、(フン・・自分が先輩のレベルを上げてやったとでも思ってる?)と悪いことを考えています。
(傲慢な女 私だってそれくらい いえ私だったらもっと効率的に先輩の力を伸ばせていた)と結論し、「ならばひとつ私と手合わせ願えますか?」と勝負を持ち掛けます。
もちろんロイドは止めますが、暗号会話で(<梟>においてこの女の運動能力が基準に足るかチェックしておきたいのです)と夜帷はもっともらしいことを言っています。
「よろしければぜひ」という言葉の裏では(へし折る・・)と闘志を燃やし、思考の伝わったアーニャはぎょっとしています。
(完膚なきまでにあなたの心をへし折り フォージャー家での居場所をなくしてあげるわ!!)
ヨルは戸惑っていて、ロイドも無理につきあう必要はないと言いますが、「受けて立ちます!」とヨルなりにこの戦いが逃げることも負けることも許されない気がしています。
ヨルの脳内ではロイドがテニスの強い子と結婚したかったんだ、と弱いやつは当局に売ってしまおうとフィオナ(夜帷)と語っているシーンが再生されています。
ゴゴゴと見つめ合う二人の間に挟まれたアーニャは、衝撃を受けっぱなしです。はっとして、以前、ベッキーが喜々として語っていたアニメ「バーリント・ラブ」の展開を思い出します。
「主人公の婚約者と幼なじみがバッタリと出会っちゃって~~もぉ~~女の戦いってやつ!?」その時はしら~っと聞いていたアーニャでしたが、(アーニャいまベッキーのきもちをりかいした・・)。
(アーニャも ばとるものすき・・!!)わくわくしていますが、若干ベッキーの思っているのとは違っています。
公園の地面にラインを引き、ネットはありませんがコートの両端に対峙する二人。アーニャが興奮しています。
「全力でかかってきなさい」と夜帷は先手をヨルに譲ります。「――よせフィオナくん」とロイドが止めようとしますが、「先生はすっこんでてください」と戦いに集中しています。
ヨルも手を抜いて打っては失礼と、全力を出すことにします。トスを上げ、ビキビキとラケットを握り締め、暗殺者モードの目つきでラケットを振り下ろします。
凄い迫力でしたが、すかっと空振りしたような感じでボールはそのまま地面に落ちます。
「ああッ」と声を上げるヨルにしーんとする一同。(フン・・ガッカリだわヨル・ブライア あなたはやはり・・ん?)
ところが、よく見ればボールは弾んでもいません。地面にぴったりとついたボールは少し揺れたかと思うと、パカッと綺麗に細切れにされています。白目になる夜帷。
(またやってしまいました)とヨルは反省しています。力を込めすぎるとガットに沿ってボールが裂けてしまうようです。ヨル自身はそれをテニスがヘタっぴだからと思っていますが、振りが鋭過ぎてガットでボールを刻んでいることに気付いていません。
「失礼 今度こそ」と気を取り直すヨルに、「え・・待て え・・?」とボールが裂けた現象に理解が追いついていない夜帷。
そうこうするうちにヨルはサーブに入り、今度はちゃんと球が飛ぶギリギリの加減で全力を出します。
「えいっ」という掛け声と、ぽこんという力の抜けた打球音とはほど遠い、強力な一撃が繰り出されます。
夜帷はその弾道に見惚れています。(音よりも速く・・!! ただの1ミリも揺るがぬ軌道 ああなんて美しい直線 思いっきりアウトね いえそんなことはどうでもいい夜帷 ラケットを前へ・・でないと・・)(死ぬ)。
夜帷は必死の形相でラケットをボールに合わせます。地下テニス大会でも、一度も見せたことのない真剣さです。
しかし、夜帷の力をもってしてもヨルの打球は押し返せず、たまらず両手に持ち替えて抵抗します。(私だって先輩への愛の重さは負けてない!! こんなもの私の積み重ねてきた想いに比べたら・・!!)と、前へ前へとラケットを押し出します。
(先輩のハートを打ち抜くのよ夜帷ッ!! こんな女に奪われてたまるものですか!! そうよ先輩の描いた未来で隣にいるのは私なのよ 『昔は大変だったね』とかリビングで語り合ったり 一緒に戦跡巡りをしたり 老後は中立国でのんびり海を眺めて暮らしたり ああ想像しただけで興奮してきた だからああ”フォージャー夫人”を)
(私と代われええええええええ)と妄想を溢れ出させながら、目を剥いてラケットを振り抜きますが、ヨルの打球の勢いは凄まじく、夜帷のガットをブチ破って背後の木まで突き抜けていきます。
固まるロイドと呆然とするアーニャ、普通なボンド、驚くヨルの前でガックリと膝を突く夜帷。
(敗けた・・!! 完全に・・!!!! 完膚なきまでに・・!!)と敗北を知って心が真っ白になっています。
慌ててヨルが駆け寄りますが、ロイドはこうなることを知っていたのか(だからよせって言ったのに・・)と呆れています。
「・・認めるわ 今はあなたの方が上よ・・」(だけど・・)「夫人・・いつかまたリベンジマッチを要求するわ」と砂をつかんで立ち上がると、「それまでせいぜい今の生活を楽しんでなさい――!!」と捨て台詞を残して、車で逃走して行きました。
(私は決して諦めない!!!)と涙をボロボロとこぼしながら、顔をぐちゃぐちゃにしている夜帷でした。
ヨルは怒らせてしまったのかと心配していますが、ロイドは「テ・・テニスに熱い人なんじゃないカナー」と誤魔化しています。アーニャの感想はにぎやかな人です。
ロイドは夜帷の行動を変に怪しんでいないといいのにと思いながらも、そもそも偽装結婚なのだから別にと自問自答しています。
そこへヨルが「ロイドさん 私勝ちました!」と拳を握って詰め寄って来ます。「え?・・はいおめでとうございます(?)」「私の勝ちです!」「ヨルさんの勝ちです!」。
ふーと息を吐いたヨルはふらふらと歩いて行きます。後ろ姿を見送りながら、(・・なんか まじで疲れた・・)と疲労困憊のロイドです。
アーニャが空気を読まずにお腹がすいたと訴えますが、さすがに出前で済ませるようです。
日付変わって管理局に赴いているロイド。ハンドラーと今回の任務について話しています。ちなみに夜帷は山にこもってスイングスピードの強化に励んでいます。
絵画に仕込まれていた暗号自体は至極平易なもので、機密の保管場所の座標を割り出してエージェントが回収済です。ロイドがザカリス文書の件を気にすると、ハンドラーがそっと日誌を差し出します。
それはザカリス大佐が若い女優たちのブロマイドを、倉庫に封印したという記録。「は?」とロイド。
ザカリスは喜劇のミュージカルにハマり、特に若い女優にのめりこんで妻にボコボコにされたことや、一度妻を誘ってみたが理解が得られなかったこと、ブロマイドをすべて捨てろと言われたがレアモノを手放すことができなかったことなどが書いてありました。
それから劇場通いを隠すようになり、ブロマイド共々”火種”となりうるものはすべて地下倉庫に隠したこと。
つまり火種というのは東西間のではなく夫婦間のことで、「何がどうしてこれが機密文書に・・?」と唖然とするロイド。
「西の外交官がやってきた時 ザカリス大佐が観劇で接待したそうだが その時関係者に口止めさせたことが(妻にバレないように)話に尾ヒレをつけさせたようだな」と職員が説明します。
納得いかないロイドは、日誌とブロマイドの中にさらなる暗号が――と食い下がりますが、「ない」とハンドラーに一蹴されます。
「戦争の火種は何もなかった 今回はそれでいいじゃないか」と言われ、ロイドはひと息吐いて納得します。日誌の隅から大佐の写真がほろりとこぼれ落ちます。
裏を見れば”愛する妻と娘”と記されています。何だかんだで大佐が愛妻家だったとか、だったらブロマイドを捨てろとか議論が沸き起こっています。
ロイドは写真を見つめながら、(難儀だな夫婦円満て任務(やつ)は・・)と思案し、帰りにケーキを買っています。
マンションではアーニャとボンドがたわむれる姿を、ヨルはどこか遠くを眺めながら何やら物思いにふけっているのでした。
オチ。夜帷が山の中で岩をくくりつけた棒を振り回して叫び、山の獣たちが怯えていました。
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妻の座はヨルの勝利
前回で一旦シリーズ終了かと思っていましたが、「延長戦」に突入。
夜帷のロイドへの愛が今回も溢れ出しています。仲睦まじいヨルとアーニャ、ボンド、ロイドの姿に刺激されたのかテニスでの手合わせを申し込みます。
ヨルの「テニスが下手」というのは、振りが鋭過ぎてガットでボールを刻んでしまうから、というとんでもない理由でした。
力を加減したサーブが一直線で夜帷に向かい、本来はアウトのコースでしたが力勝負を真っ向から受けて立った夜帷。地下テニス大会でも余裕のプレーでしたが、こっちは真剣勝負。
重い打球に対し、脳内で未来像を暴走させたりしつつ、愛の重さでは負けていないと夜帷は力を振り絞りますが、ヨルのボールがガットを突き破って決着。まあ、力負けというかガットが耐え切れなかっただけの気もしますが、ガックリと項垂れます。
敗北を認めた夜帷は捨て台詞を残して撤収。車の中で大泣きしながらリベンジを誓う姿が哀愁を誘います。頑張れ夜帷。
アーニャも夜帷の思考を読みつつ、ベッキーから聞かされた愛憎劇を勝手に「ばとるもの」に変換して楽しんでいます。ボンドと共にほのぼのしていました。
任務の肝だったザカリス文書は、実は大佐が妻に隠れて集めていたブロマイドというオチ。東西間の火種ではなく、夫婦間の火種だったと結論。
ハンドラーの「戦争の火種はなかった 今回はそれでいいじゃないか」と言った時の表情が、争いをやめたいと真摯に願っている想いで溢れていてしんみりしました。
ザカリスの件で夫婦円満は難儀だな、とロイドは改めて思い直していますが、ヨルはどうやら何か感じている様子。
夜帷との手合わせに乗ったのも、意識していない部分でロイドと一緒にいたいから、という想いが見えてきます。
まあ、脳内ではロイドが「テニスの強い子と結婚したかったんだ」とか「当局に売ってしまおう」とか、いつもながら独特な感性をしていますけど。
夜帷の登場で、ロイドとヨルの偽装夫婦の関係に何かしらの変化が見られそうです。
次のシリーズがどうなるかわかりませんが、恋愛関係でも進展があるかもしれませんね。
「SPY×FAMILY」【35話 MISSION:35】【コミックライク】
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